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『知恵の樹』オートポイエーシスの何が凄かったのか

3日ほど前だったか、サカサイ俺が前に読んだ知恵の樹の事を話してて、「オートポイエーシスって別に当たり前の事じゃね?」って事になったんだけど、それからなんとなく「何が凄かったのか」について考えてみた。

知恵の樹
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5 オートポイエーシスってそうやったんかー!

知恵の樹のあとがきや前書きにも書いてある通り、マトゥラーナとヴァレラは当時クーデターなどで政情が不安定だったチリで、「<どのように知るのか>を知る研究」を行なった様だ。

国の中で色々な価値観を持った人同士が争い合ったのだろう。そんな情勢の中で、どうして自分の価値観を信じ込んでしまうのだろう?と考えた時、「<どのように知るのか>を知る研究」が始まった。

これは「<目の前の赤くて丸い物体は、リンゴだ>と何故信じるのか?」(”信憑構造”と呼ぶらしい)を研究した現象学者のフッサールと、社会的背景も目的もよく似ている。フッサールの頃のヨーロッパは、宗教戦争でプロテスタントとカトリックと色々が争ったり、地動説と天動説が争ったりしてみんなの価値観が滅茶苦茶になった後に、結局それら全てを否定する形で、科学技術がヨーロッパを制してしまった時代だった。

人々は「信憑構造を解明してほしい」というニーズを持っていた。

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知恵の樹

おととい読んだ。オートポイエシスの2人の本。

文庫じゃないデカイ版はDNP1階にある。

知恵の樹
知恵の樹
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5 オートポイエーシスってそうやったんかー!

副題の「生きている世界はどのようにして生まれるのか」の通り、フッサールの「現象学的還元」と同じ事を目的にしている。ただし手法は生物学で、そのまま細胞レベルから社会レベルまで上がってくる。

目的は現象学的還元、つまり私達が生きている世界を観察し、経験する事から生まれる信憑構造についてなのだけど、その他にも生物システムそのものの捉え直しが行なわれている。

それは、よく言うような、一つのシステムがその環境から刺激を受けて状態を変えるというような「内と外の構造」では無くて、例えば卵がかなり閉鎖系なのに内部に複雑な組織がぐわっとできてしまうような事とか。

俺は生物学がどうコレ新しいとかよくわからないけど、まあ大体細胞内の話からこういう話になってくる↓

s.h.log: ルーマン、ハイエク、複雑系の社会学、オートポイエシス

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『フィールドワークへの挑戦』を読みながら、ものづくりとエスノメソドロジについて考える

関連記事:asahi.com:京大生の報告集出版 – マイタウン京都

先日買った京都大学の菅原和孝教授のフィールドワークの本が、かなり良い。

厳密に、participating observation(参与観察)して、民族誌を作り上げている。ethnomethodology(エスノメソドロジー)してる。

奇しくも、丁度去年の今頃やっていた「お祭り」や「サッカースタジアム」のフィールドワークに近いことを、このエントリで書こうと思う。(書きながら考えるので何が出るかわからないが)

この本では、京都の街の行商人をフィールドワークしたり、エチオピアのビデオ小屋で麻薬?を噛みながらビデオみたり、と激しいFW(フィールドワーク)が行われてるだけど、俺は銭湯のFWが面白かった。「銭湯の背中流しっこのネットワーク」が見えてきて、色々と想像力を掻き立てられる。

銭湯はかなり特殊な空間で、都市の中の公共空間としても機能的に面白いし、あれだけ人がいるのにみんな裸という身体性も凄い。

みんな一緒にいるはずなのに個人っぽい、没場所的な今の都市において、大したイベントも無いのにみんなが集まる「銭湯」の様な場所で起こっている事を理解し、デザインに取り入れる事はユビキタスコンピューティングの新しい形としてヒントになる。(既に前から考えてるが…まず実験が結構難しい)

あと、銭湯の中に民族誌を持ち込めないという障害を乗り越えて、レポートを作ったのも凄い。

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HIIにHCIのアプローチを取り入れる:『アンビエント・ファインダビリティ』を読んで思ったこと

色々あって、昨日やっとこの本を手に取った。『新ネットワーク思考』などを現代版にしたような、凄く良いネットワークの本だった。

アンビエント・ファインダビリティ—ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予
オライリージャパン (2006/04)

俺はSFCの奥出研究室でユビキタスコンピューティング&HCI側で勉強をしているので、4章の『錯綜する世界』で紹介されるMITのTangibleBitsや、McCulloughの『DigitalGround』などのHCI的マストな本や、アンビエントやパーベイシブの話と、ネットワークの話が関連づけて書かれててかなりぐっときた。

というか一章の一番始めからMITの石井さんのセリフから始まってうけた。

それでさっきblogに書こうと思ったんだけどDESIGN IT!さんの書評が凄く良いので、どういう事が書いてあるかはそっちを見てほしい。

んで本題に入るんだけど、DESIGN IT!さんの続きで、HCI(Human Computer Interaction)からHII(Human Information Interaction)へという記事のがあるんだけど、これは実はちょっと違うんですよ。多分。

HCIからHIIに行く、というより、HCIの方法論を取り入れないと、HIIはシンボル==データな、地図みたいなのしか扱えないという事だと思う。

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『グーグル—既存のビジネスを破壊する』

こないだ湘南台の文華堂で買って、家までの電車と一昨日のフットサルの行きの電車で読んだ。読みやすいし、Wiredでずっと連載してる佐々木さんが書いたのが意味あると思う。

グーグル—既存のビジネスを破壊する
佐々木 俊尚
文芸春秋 (2006/04)

Googleのやっているサービスを普通に紹介している本だった。

・圧倒的な計算能力があって

・ほぼ何もかも「把握」できて

・そこにピンポイントに情報を送り込める

すると、いままでウザかっただけの広告が、「うれしい広告」になる

で、その「うれしい広告」と対になるように、webサービスを無料で公開する。

Googleは、webサービス上でのユーザの動きを「把握」できるから、さらに「うれしい広告」の効果が上がる。

相乗効果になってくる。

まあ、そういう事なんだけど結局地主2.0って事なんだよね。

それに対して、俺らのubicomp/HCIの研究はどういう風に関わるかというのだが・・・

こういう2014年には結構なっていくと思う。でも決定的にこのflashムービーが描いていないのは、「どうやって日常の中でニュース投稿してるのか」とかそういう事だ。一体いつまでwebだけでやるつもりなんだろう?