年末年始に読む本を5冊選んだ。ドイツ語の勉強もしなければ単位が危ういんだけど、それとは別になんとなくつかめてきた気がするので。

高2の夏の911の頃からwebという物と普通のメディアの両方が同じものを論じているのを見て、気持ち悪くなって、中東について調べたりレッシグの『CODE』読んでコードの力に気付かされたりした。そういう流れの中でやっぱり俺は全体がうまくいってる社会を作りたい。学部面談で「理解する事がまず多様性を認めてうまくやるのに必要だが、もう数年たったらネットワークの力で知らざるを得なくなる時代が来る」と言ってもなんか理解してもらえなかった。

高3の頃は、コード(つまりシステムの実装)が世界を支配しているから、ものを作る方向に行った。最初はプログラミングとかできないし理科もあまり得意ではなかったので、ユーザビリティだとか法律とかに逃げたけど結局マイナスをゼロまで上げるだけで、世界を変革させるほどのアイディアを出すのには至らない事に気付いた。

んでまあなんとか大学も第一希望の環境情報学部に来て、一年の一番最初の授業で今の研究室のものづくりの授業を取ってしまって苦しんだんだけど、意外と自分がアイディアとかの面では戦える感触が持てた。でもうまくコンセプトがデモができなくて、秋から勉強して来年の春に研究会に入ろうと決意した。まず半年必死でプログラミングを勉強した。(主にCでUNIXシステムコールやSocket通信など、Javaでデザインパターンまで)

帝国主義的なコントローラビリティの高い社会から、いろんな所に分散している多様な人がうまく連動して回せる”システム”が必要となってきてる。多分これはネットワークの発達で無理矢理接続性が高くなってしまった事が後押しした社会構造だと思うが、じゃあ結局どう向ければいいのか?

ものづくりをする事は理想の社会を作る事、という所に自分を置きたい。難しいが。

最近、研究室の書籍工房というのがあって15人ぐらいがMLベースで3ヶ月で240冊の本をレビューした。(かぶってるのを含めたら多分500冊越えるんじゃないか?)

そういうのを踏まえて、年末年始に読みたい本を選んだ。



全体的に点検読書した。

Agile Web Development With Rails: A Pragmatic Guide (The Facets of Ruby Series)
David Thomas Daivd Heinemeier Hansson Leon Breedt
Pragmatic Bookshelf (2005/09/22)
売り上げランキング: 3,522

今はやりのwebアプリケーションフレームワーク・Ruby on Rails。perlが天才の使う言語だとか一部で言われたりあるけど、背景にあるのは一人でも実装しきれる開発環境で、それがRailsにも当てはまる。

それと似たところで、プロダクトデモのための強力なツールというとマイコン/Java/.net/MaxMSPからWiring/Proce55ing/Ruby/Flashという、できる事を厳選した代わりに言語を単純化し、強力なライブラリを短い構文で使えるようにする流れがある。俺らの作るデモもそうなってきた。

Railsというフレームワークは、MVCモデルと、webアプリケーションは実はGET/POST/EDIT/DELETEが軸として実装されているという分析から、データベースの形にあわせて動的にマッピングして操作を提供して、Viewを別に作れるようにすればいいんじゃない?という分析から作られた所が、かなり同じ流れに乗っている気がする。

webにはRails、Catalyst、prototype.js、script.aculo.usなどの強力なツールのおかげで、多くの個人が色々やれる世界が開けてきた。

モジュール化—新しい産業アーキテクチャの本質
青木 昌彦 安藤 晴彦
東洋経済新報社 (2002/02)
売り上げランキング: 91,904
おすすめ度の平均: 4.62

4 重要!!モジュールという考え方!!!
5 「モジュール化」について、理論から応用事例まで丁寧に解説
5 「イノベーションのジレンマ」とともに現代経営学にとって必須の教科書.読むべし!

じゃあwebアプリケーションや、プロダクトのデモやインスタレーションのエンジニアリングではなく、産業のアーキテクチャの世界ではどうなのか?

やっぱりそういう流れはある。分散的に生産されるのが効率的で、必然的にアーキテクチャもそうなってくる。

この本は持っていないのでこれ以上書けない。

フレームワークを使って個人が強力なアプリをwebでバラ撒いたり、産業モジュール化してきた背景は何か?そして、それをやる人は当然社会がどうあるべきか念頭になければマズイ。

いきなり下巻だけど、上巻は、世界がネットワーク化してきて、帝国主義から現状がどう変わってきているか。例えばテロ組織が壊滅しない性質や、indymedia.orgみたいなのが出てきた事とか、『新ネットワーク思考』に書いてあったような内容なども書かれている。

下巻は「マルチチュード」として、分散化された民主主義、大勢が大勢自身を統治する仕組みがどう現れてくるかが書かれている。

まだ手元にないのでこれぐらいしか書けない。

波状言論S改—社会学・メタゲーム・自由
東 浩紀 北田 暁大 宮台 真司 大澤 真幸 鈴木 謙介
青土社 (2005/11)

『マルチチュード』がアメリカの社会学者が世界を大きく見た本に対して、この本はメルマガ『波状言論』を再編集したもので、日本はこうなるべきだと考えてやってる現代思想家の対談集。大衆化され、思考の道具となった拡張された社会学を使い、具体的には、理論と現実の間の往復運動として、「批評」を行っている。

まだ80ページぐらいしか読んでいないんだけど、一章の対談は宮台真司がサブカルから政治の方に転向したという話題から始まる。

民主化のプロセスは3段階あり、今は3段階目。立憲政治という概念確立の後に、政治から自由になり、その後政治へ自由になる。だがルーマン=レッシグ的なオープンアーキテクチャなだけの、「~できるようにする」というコードの実装による社会システム論だけではそれはできない。動機が生まれない。

そういうタイミングになってきたので、宮台真司は今まで世界を悲観して他のオタクと同じく「あえて」サブカルをやってたけど、政治に転向した。

マルチチュードと同じ現象を扱っている。

場所の現象学—没場所性を越えて
エドワード レルフ Edward Relph 高野 岳彦 石山 美也子 阿部 隆
筑摩書房 (1999/03)
売り上げランキング: 36,449

これもまだ120ページしか読んでない。

経験の現象として場所があり、人間はその経験を通して物理的な空間を認識するという現象学的地理論の本。

場所は行動と意図の中心で、その要素は、物理的な外見(景観)/時を越えた場所の持続性についての意識/「ここ」と知ったり知られていること/生活の中で意義深い経験をしたこと/愛着を感じること(home)から成る。

景観は、人々に共有される価値観と人々とのかかわりの表現である。またその全ての要素が、メッセージを伝える可能性のあるコミュニケーションの媒体である。

ある場所に根付く事は、特定の場所に深い精神心理的な愛着を持ち、そこから世界を見る安全地帯を確保し、また物事の秩序の中に自分自身の立場を把握する事。

これらを踏まえて、「ここ」を意識できるから「そこ」に進む事ができる。

分散化・多様化した人がつながる世界になってきているけど、じゃあ繋がるという単位は何なのか?webサービスも、プロダクトを投入するところも、場所という経験にかなり依存している。

「場所」や「home」という概念があって初めて、『マルチチュード』や『波状言論S改』に書かれている理想の社会モデルが成立する。homeが無ければトポロジの最小単位がいきなり生の人間になってしまって、多分耐えられない。

その社会構造の変革から、『モジュール化』という産業アーキテクチャや、『Agile web Development with Rails』などのフレームワークの実装になってくる。

一昨日はそんな事を考えたりウイイレしたりする忘年会でした。本当にありがとうございました。やっぱ別の学部の人としゃべるのはおもしろい。いつも哲学から技術の方に考えていくので、逆に書いてみるのも面白かった。

DSC04645DSC04650フォーメーションが…フォーメーションについて

あとアメリカンホームの文化史が欲しくなってきた。