今日町田のタリーズでHIIの論文と「マネー崩壊」を読みながら考えてたことをメモしておく。
HCI+HIIで、結構多い人数の組織でプラクティスを共有するシステムを考える。
ユビキタスコンピューティングとHCIとデザインを、年齢も得意分野も様々な50人が学ぶ研究室では、プラクティスを共有するのはかなり難しい。「大工の技術を親方から学ぶ」とかよりももっと複雑な事になる。
ただでさえプラクティスだから教える側も記述する事が困難だし、学ぶ側も何がプラクティスなのか見分ける事ができないだろう。基本的に「共同作業」の中で培うしかない。
さて、50人規模で、共同作業でしか伝達できないプラクティスをうまく扱って、組織が良い方向に成長していくにはどうすると良いか?
人大杉だから「○○をやる方法はあの人が知ってる」ぐらいの、小さなコネクションを多重に張り巡らすしかないだろう。それ位の粒度が全体を見渡して自分の切り口を持つギリギリの荒さだろうし、まあコンティジェンシーになってくるだろう。
その為に、俺はblogを使う。自分にとっては「脳の外部拡張領域」、他人にとっては「○○はあの人が知ってるを作る為の検索クエリ」になる。
データをすぐに取りに行ける状態、つまり共同作業をしてプラクティスを得に行ける状態にするのが大事。それを全員がやる。ちょっとWinnyとかP2Pのファイル共有システムっぽい。
春休みにMLをRSSから見れるようにしたり、研究室のみんなのはてなブックマークを集計したりするモノを作った。これはPHPやPerlの練習という意味もあるけど、web2.0的アプローチが、参加のアーキテクチャが、プラクティス伝達に使えると思ったからやっておいた事でもある。
あとMLってやっぱ「確実に読んでくれてる」って思いたいから、50人に全放送しまくると届いてる実感が湧かなくなってしまうんだよね。普通に読み飛ばす奴が出るはず。そのOn/Offが激しいMLじゃなくて、中間的なRSSってのが良いかなと思った。
今まで、スモールチームを回す為にMLを使ったりしたが、(あるいは特定の「作業」レベルにフォーカスしたプラクティス伝達メディアを作ったチームもあったが)もう一回り大きいサイズのシステムが必要だ。それにはHCIとHIIを合わせたアプローチが使えそうだ。
3月の頭頃に、Tim O’ReillyがBionicSoftware(邦訳)というコンセプトを言っていた。diggやAmazonマーケットプレイスやFlickrなど、参加のアーキテクチャを持ったソフトウェアの、人間の動きまでシステムにデザインされて組み込まれている点を指してBionicSoftwareと名付けている。”users are part of the application”ユーザはアプリの一部
このBionicSoftwareの中で、Amazonマーケットプレイスがかなり特異に見える。発送などかなりの部分をインターネットの外で、人力でやっている。作業はインターネットの外なのに、webシステムがそれを助けている。
俺が思うのは、もしかしたらマーケットプレイスは、Amazonという…買い手→インターネット→販売店(webサイト)→倉庫(在庫管理システム)…ほぼソフトウェアで完全に動いてるシステムを、「倉庫」の部分だけヒューマンファクターに切り替える事で作れば楽じゃね?というアプローチでやったんじゃないかと思うんだ。いきなりC2Cのマーケットプレイスをデザインするより、B2CのAmazonの倉庫モジュールを人間に「置き換えて」C2Cを低コストで作ったのではないか?
もちろん人間モジュールを元のシステムに接続する為のラッパーも作っただろうけど。信頼性を担保する出品者評価システムとか、面倒な決済を代行するとか。
戻すと、(HCIの専門家だからか?)俺達は、プラクティス伝達システムとして「人と人のインタラクションだけ」を見過ぎていた気がする。マネジメント(一人の人間が超強力なサーバーみたいに動かす)という言葉で、コネクションが貼られて活動が起こるのを待ちすぎていたんじゃないか?
共同作業が起こるには、ある程度の期待や予期や知識が必要で、それがルーマン理論で言うコンティジェンシーになる。去年俺が「コミュニケーションが起こる以前をやりたい」とか言ってた要素だ。
それを、Amazonがマーケットプレイスをデザインした(っぽい)手法みたいな感じでできないか?
つまり、ある程度web2.0側ので弱いコネクションを作るのを助けておいて、最後のプラクティス伝達フェーズはヒューマンファクター。